f特に訊こう!「焼きりんご」編


焼きりんごのf特焼きりんご(カラオケ)のf特
焼きりんごのf特焼きりんご(カラオケ)のf特

 本コーナーでは「りんご娘.」の既発CDについて、スペクトラム・アナライザー(通称:スペアナ)という機材を用いて、客観的な分析を試みようと思います。

 一般の方には馴染みがないであろう、スペアナというのは、空気の振動に過ぎない「音」というものを、視覚的に表示させるための機材とお考えいただければと思います。(カー・オーディオで使用されている、グライコの親玉みたいなもん、とでも表現すれば、何となくイメージしてもらえますでしょうか?)
 ページ上部の画像が、そんなスペアナという機材を用いて収録した、「焼きりんご」の音情報(f特)になります。

 f特の見方ですが、表示されているバーを上下で見るか、左右で見るかによって、意味合いが異なります。
 まず上下。これはダイナミックレンジ(通称:Dレンジ。音の強弱)を表しています。つまり、バーが高ければ高いほど、「焼きりんご」のCDには、その帯域の音が強く入っている、という事になります。

 次に左右。これはfレンジ(音の帯域の広さ)を表しています。一番左のバーが25Hz(超低音)を示し、一番右のバーが20kHz(超高音)を示しています。その間を1/3オクターブバンド毎に分割し、全30バンド(バーの数が30本。大まかに言えば、左から10本が低音、真ん中の10本が中音、右から10本が高音)として表示しています。

 なお、f特はピーク・ホールドという手法を用いて収録しています。
 説明が難しいのですが、「焼きりんご」という楽曲に、バー表示されている音が少なくとも一回は入っていたのだ、とお考えいただければと思います。
 断続音として、ずっと演奏されている音だからバーが高くなったりする、という事ではありません。

 ま、この辺は「何となく」というレベルで捉えていただければ、十分です。「りんご娘.」のCDを聞いた上で、スペアナ収録したf特を眺めていただければ、感覚的に「なるほど」と感じていただけるのではないか、と思っておりますので‥‥‥。


 それでは、具体的にf特から「焼きりんご」を検証してみましょう。
 二枚の画像を掲載していますが、それらを見比べてみて、誰もが「お?」と思うのが中音域(320Hz〜3.2kHz)のf特が違い過ぎる事でしょう。ズバリ、このカラオケではスッポリと抜け落ちている中音域が、「りんご娘.」のボーカルに値する部分になります。

 人の声というのは、ソロであっても想像以上に複雑な和音で構成されているものなのですが、「焼きりんご」は金星さんをメインに四人で歌われているため、帯域も広範囲、かつ複雑に分布する感じになっています。
 本f特では、1kHzを指し示すバーが一番大きい =「焼きりんご」という楽曲で一番大きい音となっている訳ですが、リアルタイムにf特の変化を観察してみた結果、これは金星さんのボーカルであろう事を確認しました。名実と共に、金星さんの楽曲と言えるのかもしれません。

 低域(f特表示の左側部分)については、左右の画像ともに大きな差異はなく、あるにしても、誤差として見逃しても差し支えない程度かと思います。
 特徴的なのは、ボーカルの帯域を除くと(つまり、カラオケのf特を見ると)、本曲での大きい山は、低域にあるという事でしょうか。つまり「焼きりんご」という楽曲の、ノスタルジーながらも弾むようなリズム感を作り出しているのは、この低域の作用ではないかというのがオボロゲながら見えて来るかと思います。

 因みに32Hz以下の超低域については、楽器演奏などによって発生したものではなく、録音や編集の際に紛れ込んで来た、暗騒音のようなノイズ成分ではないかと推察します。
 理由は、「りんご娘.」の他曲と比較してみた時に、超低域のf特がほぼ同一であるためです。(そのうち他曲のf特も掲載する予定ですので、その時にでも見比べてみて下さい)

 最後に高音域ですが、f特のバーがなだらかに右下がりになっている事で、音に余計な細工をしていないであろうこと、聞き易さに寄与しているだろうことなどが分かります。
 高音は低音に比べて耳に伝わり易いですから、f特上は低音よりも高音の波形が低くなる(若干、右下がりになる)くらいで、人の耳にはフラットに聞こえるものなのです。

 最高音域(一番右)のバーがほとんど伸びていないのは、20kHzという超高音を発生させるような楽器や倍音はなかなかない、集音マイクの特性限界、CDというデジタル・メディアの規格限界など、さまざまな要因が加味されての事です。(一般的に売られているCDでも、16kHz、20kHzがしっかり入っている録音はマレ。そもそも20kHzの音を聞ける人間自体がマレ、という話もあります。因みに筆者は、17kHz〜18kHzが聞き取れる限界です)


 以上のように、思い入れなどとは全く異質なベクトルから、今回は「焼きりんご」という楽曲を取り上げてみましたが、如何でしたでしょうか。他の楽曲に関しましても、暇をみてf特を収録し、適宜、掲載してゆく予定です。

 「りんごのキモチ」のように、同一楽曲なのに、アレンジや歌唱しているメンバーが変更となっている楽曲(比較検討が出来る楽曲)ほど、f特を比べてみる面白さがあるのではないか、と思っているのですが‥‥‥。


  本ページに掲載しましたf特は、以下の機材を使用して収録しました。

  • Panasonic DVD-H2000
    • Lchの音声出力に、カナレのRCA - BNC 変換ケーブルを接続。

  • 三和電気計器 SS−30RT
    • 上記BNCケーブルをライン入力へ接続し、+20dB/10Vレンジにて収録。


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