菊と紅葉まつり in 弘前城植物園 自由広場特設ステージ


何故か笑顔のりんご娘.

 「りんご娘.」怒濤の快進撃!という感じの11月。関連イベントが目白押し。
 丁度、りんごの収穫期でもあるという事を勘案すれば、毎週イベント開催状態も納得なのではあるが、関東圏の住人としては、参加したいけど参加出来ないという歯噛み月間、恨み節月間とも言えるのである。

 そんな中、何とか時間を確保して、一番イベント時間が長い(!?)、「菊と紅葉まつり」に参加する事が出来たのは、僥倖。当初は寝台特急「あけぼの」に乗車し、温泉かりんご園にでも足を伸ばそうと考えていたのだが、先般の新潟地震に伴い、「あけぼの」が運休。復旧の見通しも立たないようなので、早朝の東北新幹線「はやて」-> 特急「スーパー白鳥」と乗り継いでの弘前入りとなった。
 「あー、あけぼのに乗れていたら、リハーサルを見られたのに!」などという、「どっちへ行っても恨み節!?」状態になったのは、また、別の話だが‥‥‥。


キティちゃん  「菊と紅葉まつり」は、弘前公園内にある植物園にて開催されており、園内に入ると、菊に彩られたピカチューやアンパンマンがお出迎え。多くの子供達が目を輝かせ、嬉しそうにそれらを指差しては駆けて行き、笑顔を見せていた。
 経路の両脇には、様々な菊人形や、鉢植え(!?)が展示され、さながら菊の見本市。ネイチャー・フォトを趣味としている人間なら、たまらないシチュエーションだろう。

 そんな花の波を横目に歩を進めると、だだっ広い芝生が右手に見えて来る。今日のイベント会場、自由広場である。広場の正面には、木製のステージと菊の装飾板(というか、装飾山?)が設置されており、ステージ左手奥にはPA制御用のためのテント、更にステージ裏には出演者用の控え室テントが設置されていた。

ポケモン 客席側に目を移すと、程良い高さの切り株が20数本、ランダムに置かれているだけで、ホントに単なる芝生の自由広場という感じ。ゴム・ボールか何かで、野球をやりたくなるような場所。ただ、広場を遮るものが何もないので、吹き抜けて行く風は、かなり強い。

 なお、この時点で観客は想像していた以上にまばら。「りんご娘.」のイベント会場で見掛けるフリークの方々が、ステージ前でイベントの開演を待っている程度で、一般のお客さんの姿が見えない。「んんっ?」と、少しばかり不安が募る。


自由広場 我々が到着した時には、PAから「焼きりんご&りんごのキモチ」のカラオケが、ランダムにBGMとして流されていた。時たま、そのカラオケの向こうから「アー♪」という感じで音合わせをしているのであろう、「りんご娘.」の声が聞こえて来たり、「13時よりステージでは、りんご娘.のショーが行われます」という周知MCが流れて来る。ホッと一息、牧歌的というか、アクセクしていなくて癒される時間。
 空模様は曇天だが、今にも雨が降りそうという雲ではない。

 13時になろうかとしている頃合いで、MC担当の女性が「13時よりステージで、りんご娘.のショーが行われます」と再周知。BGMのカラオケがスッと消えて行くと、引き続いて「りんご娘.」の紹介MCが始まる。と、ステージ裏から「りんご、ファイトッ!」という可愛い掛け声が。
 間髪置かずに、正にひょっこりという感じでりんご娘.の3人がステージ横に姿を見せる。毎度毎度ながら、緊張した面持ちなのが初々しい。


 オープニング曲は、「Give Me Power」。立ち位置は、ステージに向かって右が金星さん、真ん中がジョナ・ゴールドさん、左がレッド・ゴールドさん。
 演奏された「Give Me Power」は、ショート・バージョンだったが、曲間の踊りはフル・バージョンそのままで、三者三様の個性が見えて面白い。歌と踊りというコンセプトで会場を暖めるには、良い楽曲。

 曲が終わり、「改めまして、こんにちわ。りんご娘.です」と挨拶。大きな拍手が飛んでいる事に気付き、自由広場を見回してみると、切り株座席は完全に埋まり、立ち見の方や芝生に座り込んでいる方などがおられる。
 マイクの音声が途切れがちの中、三人が自己紹介。今日もジョナさんが先頭を切ってハジけているが、レッドさんも「負けません」とコメント。金星さんは「風が強くて寒いですが、私達の歌で暖まって下さい」と、アピール。


 続いて「りんごの唄」と「恋のフーガ」。
 「恋のフーガ」は、現メンバーのみならず「りんご娘.」という単位でも、初披露という事になるのだろうか。既存曲への新たなる挑戦としては、渋い選曲だな、という印象。派手な楽曲よりも、聞かせる楽曲?
 「りんごの唄」よりも対象年齢を下げて、世代間の谷間を埋めようという戦略だろう。

 また、現メンバーになってからは初の試み(??)として、各々の曲をデュエットで歌う事も告げられる。
 「りんごの唄」は、ジョナさんと金星さんで。「恋のフーガ」は、ジョナさんとレッドさんの「Wゴールドでお送りします」(ジョナさん談)とのこと。

 三人のコーラスが絶妙である事が、「りんご娘.」の特色の一つでもあると思っているが、デュエットには三人で力を合わせるのとは別の歌唱力、表現力などが求められる事となる。(要は、ミスをした時のバックアップに多くを望めない)
 はてさて、お宅を拝見!‥‥‥じゃなくて、お手並み拝見という心積もりで拝聴したが、声が細くはならずに、しかし、シンプルに伝わるという、三人で歌うのとは異なる魅力を発揮する事が出来ていたのではないだろうか。
 「恋のフーガ」の、両手で円を描くような振り付けも、実に良かった。


 「皆さん、ノリが良くありませんよ」と話しながら、ステージ袖から金星さんが登場。
 そのまま「焼きりんご」のイントロが流れ始める。
 「一応、まだ、私達の新曲になります。一緒に踊ってみて下さい」とのコメントに触発されたのか何なのか、本曲が始まると、切り株に座っていた二歳くらいの男の子が、金星さんの歌に合わせて切り株から飛び降りたり、芝生の上でゴロゴロしたりと、積極的に「踊り」だしてしまう。

 無邪気に転がり続けながら、楽しそうに笑っている男の子を見ていると、私を含めた周りの観客も、自然と頬が緩む。りんご娘.の歌声は、こんな小さい男の子にも、ちゃんと届いているのだ。(というか、子供ってのは実に正直なイキモノなので、届いていないと見向きもしない)
 金星さんの歌声も、そんな光景を目にしたからなのか何なのか、端々に笑みが含まれているように聞こえ、ハードな歌詞の「焼きりんご」が、実に柔らかい楽曲になっていた。こういうのがライブで生歌を聴く醍醐味。


 続いては「You」と「海」の二曲。今日はアコースティック・バージョンにて演奏されるという事で、りんご娘.の専属バンド「ケノシル」のリーダーであり、りんご娘.に多くの楽曲を提供している「hiroさん」が、りんご娘.のメンバーと観客の「せぇーの、hiroさ〜ん」という声に促され、ステージに登場。

 その場の思い付き (だった模様) で、金星さんがhiroさんにマイクを向けると、照れたhiroさんがウニャムニャと受け答え。すかさず「声が小さい!」と、ジョナさんが可愛らしくも鋭いツッコミを入れる。
 普段のボイス・トレーニングなどでは、多分、hiroさんがりんご娘.に対して「声が小さい!」などと、お小言を言っているのだろうと考えると、なかなかに味わい深いツッコミである。
 突っ込まれた途端、「ハイッ!」と直立不動になり、「皆さん、こんにちわー!」と、大きな声を出したhiroさんにも「◎」、いや、花丸を差し上げましょう。


 六本木ライブでは、聞いた記憶が吹っ飛んでいた「You」、しかしながらイントロを耳にして、「あぁ、この曲か。確かに聞いた」と記憶が蘇る。サビの部分、三人の手の動きがビシッ!と決まった部分から引き続くコーラスが、実に印象的。

 「海」は、ジョナさんが抜けて、レッドさんと金星さんのデュエット。ジョナさんは個性的な歌声(ダミ声?)の持ち主だと思っているのだが、彼女が抜ける事でコーラスなどがどのように変化するのかと、興味深々。
 金星さんとレッドさんは声質が似ており、「海」を聞いた限りにおいては、気持ち良く声が混ざり、溶け合って行く。デュエットとしての完成度は、かなり高いかもしれない。

 同時に、ジョナさんはMCだけではなく、りんご娘.のコーラスでも、渋味や苦味などの雑味、隠し味的な役割を果たしているのだな、というのも良く分かった。ある種、三振かホームランかというような不安定さの産物なのかもしれないが、それが逆にチームの緊張感を高めたり、ツボにハマった時には実力以上のものを発露する切欠となり得るという部分で、貴重なものなのかもしれない。

 ま、この辺は「ごった煮の鍋物」と「懐石料理」を比較しているみたいな話なので、優劣を語るべきではない。りんご娘.が新たなるバリエーションへと挑戦しているのであれば、それを両方とも美味しく賞味させていただくのが当方の流儀である。ご馳走様でした。


 そんな隠し味(失礼!)が、ステージ袖より再登場。「秋といえば?」という事で、MCに突入。
 金星さんは「‥‥‥おいも」と恥ずかしそうにコメントするも、ジョナさんに「え〜?何だって?」という感じで、イジメられまくる。

 レッドさんは「金ちゃんと似ているけど、味覚の秋」って事で、間接的に先輩をフォロー。
 先ほど「海」で見せた、デュエットとしての完成度の高さは、伊達ではない。
 そして、本命登場、ジョナさんのMC。「秋といえば、八代亜紀!」

 これが当方のツボに入って大笑いしていると、「お酒は温めの燗がいい〜♪」と、追い討ち。「舟唄」である。しかもhiroさんが、物悲しい音色でちゃんと伴奏までしている。

 と、ステージではレッドさんがハリセンを手にし、「舟唄」に酔いしれているジョナさんの後頭部へと一閃!これぞ、「江奈滋家の食卓」風アレンジか?
 流石にここまでやらかすと、観客席からも笑いと拍手が漏れる。いや、本当に楽しいし、素晴らしい。

 確かに現状では、客席を巻き込んでの大爆笑には至らないが、観客の人を楽しませたいという純粋なエンターテイナー精神は、きちんと観ている人に伝わっていると思う。また、今のようなポジションだからこそ、こういう小技に関する「種蒔き」が出来る訳で、どういう形で全国区に進出するにしろ、観客を前にしたステージでの試行錯誤は、決して無駄にはならないだろう。

 りんご娘.は毎度毎度のステージで、彼女らの持つ能力を惜しみなく発散していると思う。後はそれに対する客席側の素直な反応を、どう惹き出してゆくかという方法論になる気もするのだが、実際はそれが一番、難しい作業なのだろう。


 「さて、冗談もこの辺にして、まともなりんご娘.のステージに戻りましょうか」という金星さんのMCから、「バスターミナル」へ。八代亜紀でお茶らけておいて、直後にバラードを持って来るというのは構成の妙。こうする事で、八代亜紀も「バスターミナル」も、共に印象に残る事になる。

 この曲、六本木では雰囲気に泣かされた感が無きにしも非ず、だったので、今日は冷静に対峙してみることにした。が、やっぱりシミジミと歌詞が良い。エンディングを「さよなら」で締める辺りが、作詞者の拘りだろうか。当方であれば「ありがとう」という言葉を載せて、単なる別れではない事を匂わせて締めたくなる ――― などと、自分の内面へ旅してみるのも面白い。

 なお、間奏では、りんご娘.が三人とも背を向けてステージ奥へと歩いて行き、立ち止まった後で、レッドさん、ジョナさん、金星さんの順で振り向くという、大きい動きではないにも関わらず、曲のイメージを引き締める、重要かつ白眉の振り付けがある。当方は「卒業アルバムをめくる」ようなイメージを想起してしまったのだが、実際にご覧になられた方は、どう思われただろうか。


 続いて、「りんご娘.らしく、元気にいきたいと思います。小さなお友達も、前の方で一緒に踊ってくれたら嬉しいです」という事で、日曜8時半に放送されているアニメ「ふたりはプリキュア」の主題歌「DANZEN!ふたりはプリキュア」へ。これはかなり意表を突かれた選曲。「小さなお友達をも含め、一見さんを取り込むには、毎週放送されているアニメ番組の主題歌のようなものを歌うのが良いのではないか」などと、支部長と与太話していた事を思い出す。う〜ん、流石はH.A.S.P.さんだ。

 今時の曲らしくスピード感が強いものの、基本が子供をターゲットにした楽曲なので、気を引くようなアクセントが随所に織り込まれており、それに合わせてりんご娘.が人差し指を振ったりしている感じが、非常に曲と合っている。サビの部分の「プリキュア」という言葉の繰り返しも、自然と耳に残りそうだ。
 ハートを模したと思われる決めのポーズも、華やかな感じで面白い。
 そうそう、曲の入りばな、ジョナさんが右足を取られてしまい、「滑った〜!」と苦笑いされていたが、そのアクシデントさえも、心地好いアクセントに昇華させていたと思う。

 因みに当方は「ふたりはプリキュア」という作品を見た事がない。当然ながら、主題歌を聞いた事もなかったので、私の脳内ではりんご娘.の歌声が、本曲の標準として記憶されてしまった事になる。
 何らかの機会にオリジナル・シンガーである五條真由美さんの歌声を耳にしても、違う!これは、「DANZEN!ふたりはプリキュア」じゃない!とか言い出してしまいそうな気もするのだが‥‥‥。

 余談だが、「ふたりはプリキュア」の主人公・美墨なぎさの声を担当されているのが、本名陽子さんと知ってブッ飛んでしまった。いやぁ〜、世間って狭いというか何というか。実に妙なご縁である。


 「プリキュア」で、多くの小さいお友達とおっきいお友達をノリノリにさせた所で、そのまま「りんご争奪じゃんけん大会」へと雪崩れ込む。ルールは簡単。りんご娘.のメンバーと順次じゃんけん三本勝負。あいこは負けとみなされるという、この手のイベントにはありがちな特別ルールを採用。見事に勝ち抜くと、りんご娘.のサインが入ったりんごを貰うことが出来る。

 金星さんに「さぁ、皆さん、立って下さい」と促される前に立ち上がっていたものの、「いきますよ。ジャンケン、ポン!」で、レッドさんがチョキ!当方はパー。にゃにゃにゃー、あっさりと負けてしまった。くっそー、悔しいぞー(泣)。

 結局、りんご娘.との三回勝負には四人が勝ち残りステージへ。
 勝ち残った人同士が延長戦を行い、無事に勝者三名が決定。銀色マーカー(??)のサインが入ったりんごを、りんご娘.から受け取っておられた。デメタシ、デメタシ?

 そして、「今お配りしたりんご、そんなりんごを通して、世界平和を歌った曲です」とのMCから、「りんごのキモチ」へ。個人的には、世界平和よりもりんご娘.そのものを歌っている楽曲ではないか、と感じているお気に入り。「りんご」や「青森」という直接的な単語は使わずに、しかし、ちゃんとそれらが匂うような歌詞に仕上げている所が素晴らしいし、そんな楽曲にピッタリの、チャーミングな振り付けも言うことなし。サビのハモりを耳にするだけで、自然と優しい気持ちになれる。


 そして間髪置かずに「最後の楽曲になります」で、「エアポート」。
 「りんごのキモチ」には派手な振り付けがないとはいえ、インターバルも取らずに最終曲へと雪崩れ込める彼女達の能力には、驚嘆する他ない。常日頃から鍛える部分を鍛えているからこそ出来る芸当なのだが、客席にそのような感覚を抱かせない辺りが、プロ根性というか、ボランティア魂なのだろう。

 と、「エアポート」を踊り出した所で、中央の金星さんの右足が滑る!「あぁ〜ん、もう‥‥‥」という感じで、悔しさと恥ずかしさが入り混じった表情のまま、膝に手を置く金星さん。
 気を取り直して振り付けに戻ろうとした瞬間、「金ちゃんも滑りましたね〜♪」と、ジョナさんに突っ込まれ、再度、膝カックン&脱力系の表情で天を仰ぐ金星さん。
 大丈夫か?‥‥‥と、心配したその刹那、ちゃんと曲に合わせながら、「ヘイ、ヘイ、ヘイ!」と、顔を大きく左右に振りながら、通常であればシャウトしない箇所で、滅茶苦茶元気なシャウトをしてしまう金星さん!これにはメンバーもビックリしたようで、ジョナさんが踊りながら「金ちゃんが、壊れた!」と再度、突っ込みを入れて、客席も爆笑でそれに応える。

 照れ笑いを浮かべながらも、以後、しっかりと踊り続けた金星さん&メンバーについては、滑った直後の表情を捉えた本ページ・トップの画像で確認いただければ幸いだが、本件で当方が心底、感心したのは、りんご娘.のライブ頭とチームワークの良さであった。


 先ずは金星さんの表情七変化。単に「滑っちゃった!」というだけでなく、そこに恥ずかしさや怒りのようなものが入り混じり、かつ、ジョナさんに突っ込まれた途端、脱力系の表情で天を仰いでいたのが、何よりも素晴らしい。
 これらを狙ってやったとは思えないが、表情に様々な変化をつけた事で、金星さんの滑った事に対する「素」の感情が、口で説明するよりも雄弁に客席へと伝わっていた。

 だからこそ、体勢を立て直し、しっかりと曲に合わせながら「ヘイ、ヘイ、ヘイ!」とシャウトした瞬間、客席とステージに横たわっていた嫌な垣根は取り払われて、自然と笑みが漏れてしまうような、良い雰囲気の笑いを勝ち取る事が出来たのだと思う。滑ったという動揺を感じさせることなく、本曲を堂々と最後まで歌い上げていたという事実も、特筆しておかねばならないだろう。

 続いては、素晴らしい突っ込みで金星さんを救ったジョナさん。
 観客側とすれば、「滑った!」というアクシデントにどう対峙すれば良いか、少なからず迷うもの。多くの場合は「見なかったこと」にしたりして、ビミョーに気を遣う空気が漂うのだが、そこをあっけらかんと「金ちゃんも滑った〜♪」とアピールしてしまう事で、観客へ「気にしないで下さい」オーラ、「気を遣うほどの事じゃないですよ」オーラを伝播させる事に成功していた。

 金星さんの表情七変化と同様、これを狙ってやったとは思えないが、年齢的な特権を生かして、末っ子のような形で金星さん、レッドさんを向こうに回し、MCなどで大暴れする中で磨かれたカンの良さのようなものが、実は欠かす事の出来ない隠し味として、「りんご娘.」を支えているのかもしれない。

 そして、最後にレッドさん。実は、この一連の流れの中で、レッドさんが果たした役目というのは、トテツもなく大きかった。一体、何をしたのか。ずっと、きちんと、淡々と (顔は笑っていたけど)、踊り続けていたのである。
 「ハァ?」とお思いの方がおられるかもしれないが、レッドさんがきちんと踊り続けている事で、楽曲は現在進行形を保ち、その結果、滑るというアクシデントがミスに堕する事を防いでいたのだ。

 仮にレッドさんが突っ込む側に入ったり、金星さんを気遣うような素振りを見せてしまっていたとしたら、どうなっていたかを想像して欲しい。多分、金星さんはアクシデントに対してより多くの要素を背負い込む形となり、シャウトするタイミングさえ、逸していたのではなかろうか。ところが、レッドさんは踊り続けた。ジョナさんの突っ込みと同等に「気にすべきアクシデントじゃない」事を、自然と観客に知らしめるために。


 以上から、金星さんが滑ったというアクシデント、単にそれだけをミスとして捉えれば、確かに「-1点」となってしまう事柄が、その後の金星さんの表情やシャウト、ジョナさんの突っ込み、レッドさんのフォローを得た事で、幾つもの「+1点」を生み出し、差し引きしてみれば、むしろ無難にこなしていた楽曲よりも、強烈な印象を観客に残す結果になっていたと思う。
 限りなく結果オーライだったのかもしれないが、これは「りんご娘.」の日頃の努力や、チームワークの良さがもたらしてくれた、天恵であったのは間違いない。

 このように、演奏者が何らかのマイナスを発生させたとしても、補って余りあるプラスを惹き出し、相殺できる可能性を保持しているのがライブの魅力であり、生で演奏を楽しむ理由になるかと思う。そこには、CDやDVDの機械的再現を期待するだけでは得られない、新たなる満足感が潜んでいる。

 故に、当方は「ライブの華は、アクシデント!」と、咆えているのであるが、今回の「エアポート横滑り事件(!?)」を目の当たりにした方々には、その辺の真意を理解していただけたのではないだろうか。アクシデントがアクセント以上の、ライブの華と呼んで差し支えない「芸」になっていたのだから。


CD即売会  「ありがとうございました、りんご娘.でした」と最敬礼。
 そして「へばねー」と、津軽弁で挨拶し、りんご娘.のイベントは終了。

 前述の当方の私見が独り善がりの感覚ではなかった事は、ライブ終了直後に開始された、CD即売会の様子を見ても明らか。
 当方が拝見させていただいた即売会の中では、多分、一番(!?)と思えるような人数 (それも一般客、一見さんと思われる方々) が、CDを買い求めるために、販売机の前に並んでおられた。アクシデントの件を含め、「りんご娘.」のステージに何かを感じ取っていたのではなかろうか?

 ライブ終了後に、「帰宅後も私達の歌声を聞きたい人が、いっぱいいるようなので、あちらで私達のCDを発売しています。宜しかったら、お買い上げ下さい」と、金星さんがアピールしていたのも、買おうか買うまいか迷っている人の背中を押すという意味で、非常に良かったと思う。


 CDを購入する人波が途切れた所で、半ば恒例の撮影会。
 歌って踊ってヘロヘロだろうに、笑顔で撮影に応じる「りんご娘.」達。本当に健気やなぁ(泣)。
 この日の撮影会には、多くの家族連れの皆さんや、ナント外国人まで出没し、非常にホンワカとした雰囲気で進行していたのが、心地好かった。

 惜しむらくは、ライブ終了前後から雨が降り始め、撮影会の頃には気にする人は気になるくらいの雨粒が落ちて来ていた事か。ライブ中には、一瞬だけど、うららかな陽光も顔を出していたのだが‥‥‥。


本文中のMC、会場描写、その他は、全て当方の記憶に基づき書かれています。
事実とは異なる表記があるかもしれませんが、ご了承下さい。


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