第14回 りんごの里いたやなぎ マメコバチ感謝祭
「マメコバチ スーパーライブ 2005」
at 板柳町ふるさとセンター イベント広場


マメコバチ感謝祭

◆経緯

 2月からの冬眠を経て、春の息吹と共に動き出した「りんご娘.」。活動再開の第一弾として、5月4日に「りんご畑のコンサート」開催が。間髪置かずに第二弾「マメコバチ感謝祭」への出演も告知された。
 地方アイドルというカテゴリーを嗜好するのであれば、間違いなく「りんご畑のコンサート」に触手が動く所であろうが、純然たる「りんご娘.」のイベントを欲していた当方は、迷う事なく「マメコバチ感謝祭」への遠征を選択した。

 地元密着型イベントへの出演である上に、「with ケノシル、スペシャルゲスト:渋谷和生」である。
 現在の「りんご娘.」のステージを彩るには、これ以上を望めない最高最強のゲスト陣であり、そこに冬眠という名の熟成を重ねた「りんご娘.」が絡んで、一体どのようなパフォーマンスが生まれるのか。それらをアタマに思い浮かべただけで、不覚にも背筋がゾクゾクしてしまうのだから、これはもう見に行かざるを得ない。

◆往路

 今回は前日7日に弘前入り。生憎の小雨模様。
 日本一を誇る弘前公園の桜も、散り際の雨にたたられた感じ?
 基本的には晴れオトコのハズなのだが、こと「りんご娘.」のイベントとなると、雨オトコになってしまっているような気がしないでもない。

会場入口 8日は朝にレンタカーをチョイスし、一路、会場である板柳町ふるさとセンターを目指す。天気は残念ながら曇天。ピーカンに晴れてしまうよりは良いのかもしれないが、風が強い上に気温が低いらしく、首筋などがうら寒い。関東から北上する事を念頭に置いたつもりだったが、服装の選択から間違えたようだ。

 板柳町は初めてお邪魔するので、余裕を持って出発したが、どうやら余裕を持ち過ぎたようで、10時過ぎには会場である板柳町ふるさとセンターに到着してしまう。この時点では、流石に駐車場もガラガラ。

◆リハーサル風景

 車を停め、「う〜ん」と背伸びをしていると、何やら聞き慣れた旋律が飛び込んで来た。主催者がBGMと宣伝を兼ねて、「青森林檎」を流してくれているのかと思ったが、オケのリズムが不規則に変化したり、りんご娘.のボーカルも探るように強弱が加わったりしている事に気づく。リハーサルのようだ。

リハーサル風景 ひとまず撮影機材などを引っ掴み、イベント広場へと急いでみる。残念ながら「Love&Solder」のリハーサルには間に合わなかったが、引き続き、「Jonkara」のリハーサルが始まる。
 ケノシルの皆さんが音を探りながら、時に顔を見合わせてPAの音量バランス調整に指示を出したりする一方で、りんご娘.はステップワークとボーカルの鍛錬(というか、確認?)に余念がない。
 その表情が真剣過ぎるほどに真剣で、見ているこちらが射すくめられそうになってしまう。

 ジョナさんは「Jonkara」の部分的な節回しの発声にどうも納得がいかないらしく、ステージを使ったリハーサルが終わり、オレンジ色のスタッフ・ジャンバーを羽織って控え室へと向かうその道すがらでも、何回か声を出しては首を捻っていた。

◆ライブ開始まで

 ひとまずリハーサルが終了したようなので、レンタカーへ戻る。
 りんご娘.のステージまで約二時間の空き時間となってしまい、色々とアタマを巡らせてはみたものの、板柳町ふるさとセンター内をぐるっと一巡りした後は、結局、レンタカー内で横になっていた。
 目の前には「板柳温泉大浴場」という看板もあり、身体は入りたくてウズウズしているのだが、前述した風の具合と気温の低さを考えるに、入浴 -> 湯冷め -> 風邪というフルコースに陥るのは明白なので、ここは我慢、我慢(泣)。


◆開演

イベント広場 定刻の12時30分、「マメコバチ スーパーライブ 2005」の開演が告げられる。
 会場であるイベント広場には、青のビニールシートが6面敷かれ、板柳町民の方々が、あちこちに車座を作って談笑している。中にはお酒も入り、盛り上がっているグループもあった。

 そんな客層故、高齢の方が多いものの、家族連れ、子供達の姿も少なくない。ちょこんと最前列に座り、りんご娘.の登場を待っているお婆ちゃん達の姿もあり、「おらが町のお祭りだ」という空気に溢れている光景が、新鮮でもある。そんな観客の総勢は、200〜300人という感じ。

◆Fly High

 シブさんのドラミングを出囃子に「りんご娘.」が登場‥‥‥なのだろうが、シブさんが絶妙なタイミングでドラミングを止めたり、リズムを変えたりするため、「うわ〜ん、入れないよ〜」という感じの笑顔でステージ袖に待機しているジョナさんとレッドさん。それでもリズムを計りながら、意を決するように「ヘイ、ヘイ、ヘイ」と声を出し、手拍子を打ちながら、ステージに向かって右手より登場。

 当方、ジョナ・ゴールド&レッド・ゴールドの、「ゴールデン・コンビ Na りんご娘.」を見るのは今回が初めてになる訳だが、コンビ = デュエットの基本という事なのか、ハモりが上と下に明確に分かれ、声が今まで以上に伝わり易くなっているように聞こえた。
 その部分を除けば、コーラスワークや振り付けを含め、金星さんが在籍していた頃と同じ形を採用しているように見え、楽曲全体の印象についても、甲乙付け難いものに仕上がっていたと思う。

◆MC.1 自己紹介

 「皆さん、こんにちわ。りんご娘.です」から、自己紹介へ。
 「私の祖母も板柳でりんごを作っています (ジョナさん)」、「蜜がつまったレッド・ゴールドを、ぜひ食べてみて下さい (レッドさん)」と、ちょっと迷走しそうな感じもあったものの、手堅くまとめて次の曲へ。


◆津軽のふるさと

 「美空ひばりさんが歌われていた〜」という曲紹介で、客席がザワめく辺りに今日の客層が反映されているな、と感じつつ、オープン・ステージであるにも関らず、何とアカペラ!で歌われる事に驚いてしまう。
 しかし、それは驚きの序章に過ぎなかった。本当の驚きは、ジョナさんの歌い出しを耳にした瞬間に訪れた。

 何に驚いたのかといえば、声の消え際の余韻に。そして、息継ぎに伴う無音の間に、である。
 特に声が消えゆく余韻の綺麗さは絶品で、それがために息継ぎで生じる無音の間にも美しい緊張感が生まれ、同時にそれは、観客に次の歌い出しへの期待感を持たせるという、これ以上ないほどの素晴らしいクッションになっていた。全編が、そんな光景の繰り返し。

 好みの範疇で、とお断りした上で、今回は破壊力があったジョナさんの声に軍配を挙げたいが、レッドさんの柔らかい声も負けず劣らずであった。否、力量が伯仲し、声質が明確に異なる二人だからこそ、可能になった聞かせ方だったのだろう。

 しかし、まさかまさか「りんご娘.」のステージで、こういう類の「声」を聞かせてもらえるとは思わなかったから、驚きも二倍、三倍。巻いた舌も、二重、三重。
 後ろの方で、酒盛りしていたおじさん達から、曲間で自然と拍手が飛んでいたが、さもありなん。
 この日のピカイチは?と問われたら、津軽のふるさと。これ、間違いない。

◆リンゴの唄

 「津軽のふるさと」から、流れるようにケノシルの伴奏が始まり、本曲へ。
 「Fiy High」同様、振り付けなどに変更はなく、明らかに分かる違いといえば、金星さんが担当されていた三番を、ジョナさんとレッドさんがデュエットする形で歌唱していた事か。

 先の「津軽のふるさと」が声の余韻を聞かせてくれたとするなら、本曲は声の芯を聞かせてくれた印象。微妙な表現かもしれないが、金星さんの知的でクールだったボーカルを、ゴールデン・コンビなりに消化し、そして昇華させたものを披露してくれた、と言えるかもしれない。

 足を蹴り上げたりする躍動感ある動きも、今まで以上に止めと動きのメリハリが活きているようだった。

◆MC.2 おひねりが飛んだ日

 「津軽のふるさと」と「リンゴの唄」。この二曲に「りんご娘.」の着実な成長を強く感じた訳だが、そんなキモチを受け取ったのは私だけではなかった事が、ここのMCで証明された。そう、なんと「おひねり」が飛び出したのである。
 いや、レッドさんとジョナさんは、先に行われた合宿の事などを話していたのだが、そこに一人の初老のおじさんがツカツカと歩み寄ったかと思うと、二人におひねりを差し出したのだ。

 「えぇぇぇ〜えぇぇ〜」と驚き、恐縮しながらも、元気良く「ありがとうございます!」とお礼を言い、満面の笑みで「おひねり」を受け取る「りんご娘.」。滅多にない出来事に、どうしたもんだかという戸惑いも端々に見えていたが、そんな初々しい態度を、観客席からの暖かい笑い声と、拍手が後押ししていた。
 また、この初老のおじさんの立ち居振る舞いもサイコーで、照れるでなく、威張るでなく、渡すのがさも当然ではないか、という表情でステージへ上がり、そしてまた、ご自分の席へと戻っていかれた。いやぁ〜、カッコいい!

 先般のブライダル・フェアでレッドさんの「守ってあげたい」を目の当たりにした時、「おひねりが飛んでもおかしくない」と、その感動の度合いを記したが、まさか本当に飛ぶ日が来るとは思わなんだ‥‥‥。
 「りんご娘.」の歌声が、一見のおじさん達にまで届いた瞬間へ立ち会えた幸せに、心から感謝したい。


◆エアポート

 思いもかけないおひねり登場に、「調子が狂った」(by ジョナさん) と笑顔を見せながら、本曲へ。
 今回は、「青森林檎」に収録されているオケとは異なり、曲頭、間奏、曲尾に男性コーラスが入らない形で演奏されていたが、これが実に不思議なもので、曲から受ける印象そのものが、全く別物のようになってしまう。

ステージ風景1 会場や設備の都合などから、hiroさんを筆頭としたケノシル・メンバーのコーラスを入れる事が出来なかったのだろうと思われるが、あの男性コーラスが聞こえて来るからこそ、「りんご娘.」の歌声や振り付けが、より一層の光を放っていたのだな、と再確認。
 次回は是非、「エアポート with ケノシル・生コーラス・バージョン」を聞かせていただきたい‥‥‥と思うのだけれども、やっぱり大変なのかな?

 因みに振り付けが軽く変更されていて、ジョナさんとレッドさんがシンメトリーに手を上げ下ろしするようなカンジになっていた。

◆DANZEN!ふたりはプリキュア (Ver.Max Heart)

 当方、「りんご娘.」の歌声でしか聞いたことがないのだが、やはり小さいお友達の反応が非常に良い一曲。
 全く関係ない話で恐縮だが、アニメが「Max Heart」という続編シリーズになるに際し、主題歌そのものをコロコロ変更したりせず、アレンジのみ変更する形で対処した製作者の英断に、ともかく敬意を表したい。
 「このアニメは子供達のものである」と考えられているであろう事が、こういう所で伝わって来る。

 さて、肝心の「りんご娘.」が歌う本曲だが、今までとは違って歌い始めと間奏に、台詞が挿入されていた。多分、アニメのオープニングで同じような台詞が入っているのだろうが、ここの台詞部分はレッドさんに軍配、かな。素直に話しているカンジが実に良かった。ジョナさんは、少しだけアニメ声な発声になっていたように聞こえたんだけど、普通で良いんですよ、普通で。

 歌そのものは、あちらこちらで歌って来た成果なのか、非常に良い。巷に溢れる昨今のポッと出なアニメ・ソング歌手など、正に鎧袖一触。惜しむらくは一点、曲の最後の最後の決め!ポーズで、大きなハート・マークを作れなくなった、って所かな。

◆MC.3 開講、振り付け講座

 「次は、りんごを通して世界平和への祈りを歌った曲「りんごのキモチ」なのですが、寒い身体を暖めるためにも、皆さんと一緒に踊りたいと思います」という事で、サビ部分の振り付け講座開講。テンポを落としたケノシルの演奏に、レッドさんが歌声を重ね、その上でジョナさんが振付を段階的に指導してゆく。

  • 空に手を上げて、
  • ゆっくりと前に降ろします。
  • 片手で小さいりんごを作って、
  • 何回か、クイクイと振って下さい。
  • 両手を交互に前に差し出して、
  • 差し出した手を引き寄せてから、
  • 最後は筋肉モリモリのポーズです。

 ‥‥‥とまぁ、そんなカンジ。
 お年寄りや、小さいお友達にも分かり易い教え方だった事もあり、かなりの方々が手を動かしていた。
 一応、2コーラス分の練習を終えた所で、「じゃ、本番に行きますか」とケノシルの方を振り向いたジョナさんが、上着を脱いだ汗びっしょりなシブさんに気付いたらしく、「あれ、ドラマーが疲れている!大丈夫ですか?」と、嬉しそうにツッコミを入れていた。のほほんとしたチームワークの良さが感じられる瞬間である。

◆りんごのキモチ

 そんなこんなで、観客参加型で始まった「りんごのキモチ」。ジョナさんはサビの部分になると、歌唱はレッドさんに任せ、自らは「はい、ここでモリモリ・ポーズです」などと、踊りながらの振付指導に注力していた。
 それに釣られるかのように、あちらこちらでイソギンチャクの如く、お客さんの手がうにょうにょ動いていて、実に楽しい、面白い。H.A.S.P.のスタッフも、オレンジ色のジャンバー姿のまま、あちらこちらで笑顔を浮かべ、手をうにょうにょさせている。

 そんな中、目線の端に、小さい小さいオレンジ色のジャンバーがうごめいているのを捉えた。
 先般の「りんご娘.強化合宿 (第三次選考) 2005 春」をクリアした、練習生のようだ。
 それまでは直立不動で「りんご娘.」のステージに熱視線を送っていたようだが、合宿で叩き込まれたのであろう本曲の振り付けを、小さい体で精一杯に踊ってみせてくれていた。
 踊っている時の表情も素晴らしかったから、辛い事も多いだろうけど、ジョナさんやレッドさんに追いつけ追い越せで、頑張って欲しい。


◆MC.4 しゃみしぇんしょうしゃ?

ステージ風景2 「皆さん、私らよりも上手に踊ってましたね」という嬉しそうなコメントから、「皆さんお待ちかね、今日のスペシャルゲストの登場です」。

 ここでレッドさんが「三味線奏者」を、「しゃみしぇんしょうしゃ」と発音してしまったようで、ジョナさんに「しゃみしぇんしょうしゃぁ?」と、イジめられる。
 「三味線奏者!」と言い直した後も、「しゃみしぇんしょうしゃ!」というジョナさんの追い討ちを受け、「もぉー、言わないでよー↑」と、照れ笑いしながら、言葉尻を2オクターブくらい高めた叫び声をあげていた。
 素のレッドさんが垣間見えて、楽しいやねぇ。

 そんなやり取りに微笑を浮かべながら、三味線奏者:渋谷和生氏がステージに登場。「りんご娘.」が客席に拍手を煽り、かなり大きな拍手が降り注ぐ。
 「それじゃぁ、「どうぞ!」という掛け声で、渋谷さんのスペシャル・ライブを開演しましょう。皆さん良いですね?声を出して下さいね?それでは‥‥‥」

◆渋谷和生氏、スペシャル・ライブ

 「どうぞ!」という掛け声を切っ掛けに、津軽三味線が「タタタんッ」と爪弾かれる。
 温和だった渋谷氏の表情も、自己の内面宇宙に入り込んだような、引き締まった表情へ豹変。

 小刻みにリズムが刻まれながら、雄大に音程が変化する不思議と、微妙な爪弾き方の変化を用い、強弱や揺れを表現しているのであろう音色の不思議。
 淡々としているようでありながら、熱がこもっているようにも聞こえる不思議、などなど。
 まァ、素人が何をどう表現しようと、こればかりは聞いてもらうしかないだろう。

 無駄を限りなく削ぎ落とし、質素を極めた中に雄大な宇宙を探求してしまう事こそ、日本人が古来から持ち続けた美意識であろうと思うが、渋谷氏の津軽三味線には、間違いなくそんな美意識が存在しているように聞こえた。

 PAを介在させて音量を増幅させている関係から、非電子系楽器のみが持つ、本質的な音の立ち上がり、立ち下りの良さのようなものが丸められてしまうのは、素晴らしい演奏を耳にするにつけ、やはり残念ではある。
 「りんご娘.」のステージではない場所でも構わないので、そのうち、津軽三味線のみで奏でられる生音と、相対する機会を得てみたいものだ。

◆GIVE ME POWER

 渋谷氏の五分を超える熱演の余韻を受けて、ドラムを筆頭としたケノシルの演奏が折り重なりつつ、本曲へ。生バンドに生演奏の三味線が加わったオケには、やはり津軽らしい雰囲気があって素晴らしい。

 楽器やPAが立ち並ぶ狭いステージを、狭いと感じさせないようなダイナミックな振り付けから、「弘前のねぷたの掛け声です。皆さんご一緒に」で、ヤーヤド!とシャウト。途中、歌詞の末尾を少しづつだけ輪唱するような、新しいコーラスを採り入れていたが、そこがまた曲調に印象的なアクセントを作り出していた。

 三味線をプラスしたステージでの生演奏は、お正月の「Power Live 2005」に引き続き二度目になると思うのだが、まだまだ改善の余地がありそう。
 三味線の存在感は格段に向上していたし、実際、聞こえ方としても悪くなかったと思うのだけれども、当方の手前勝手な感性が、「もっと渾然一体となった、音の濁流となるようなオケが可能だよ」と、高望みをささやいていたりする。


◆MC.5 バンド紹介

 「フルートと三味線が加わって、バックバンドの「ケノシル」が、スーパーケノシルになりました!」、「じゃ、一人三秒以内で」という事で、バンド・メンバーの紹介。

 バンドマスター&ギターのhiroさん。
 ドラムのシブちゃん。
 ベースのボンバイエ。
 キーボードのトモちゃん。
 フルートのフミたん(??)。
 そして三味線の、かずおちゃん。

 何しろ三秒以内(実質、一秒程度だった)という事で、皆さん、各々の楽器をじゃらん!と鳴らすのが精一杯。そのまま駆け足で、次の曲へと突入。

◆Jonkara

ステージ風景3 メインボーカルはジョナさん。かなり高めのキー&早いテンポでこの難曲を歌っているにも関わらず、声が裏返ったり、ブレスが乱れたりしないのはお見事。レッドさんは、瞬間的な声の線の細さが顔を覗かせるものの、的確にコーラスを合わせていた。

 ジョナさんのダミ声には、時にある種の背伸びを感じさせられる事もあったのだが、冬眠を経て、その背伸びをしていた所まで、等身大の自分を成長させてしまったかのようで、無理をせずに大人の観賞に耐えうる歌声を披露出来るようになったのではないかと思う。

◆LOVE&SOLDIER

 本曲も「エアポート」と同様に、通常のオケだと曲頭に男性コーラスが入る。しかしながら、この日はやはり男性コーラスが入らず。それでも「エアポート」のように、まるで別の曲であるかのような印象を受けなかった。
 この差はどこから?と思っていたのだが、本曲では男性コーラスの旋律を、三味線やギター、キーボードなどが演奏する形でフォローしていたようだ。ただそれだけの事なのに、実に不思議なもの。

 歌声については、やはりジョナさんの声量が圧倒的。MCでの元気の良さが、ボーカルにまで進出して来たかのような感じで、金星さんのような透明感のあるクールさとは異質な、あくまでも自分の長所であるハマった時の破壊力・突破力という部分に磨きをかけ、力強さから生れる冷徹さのようなものを表現しようとしていた気がする。

 レッドさんについては、声質の差で力負けしたような感じに聞こえてしまうのが可哀想ではあるのだが、その実、キチンと歌い継ぐ事で、楽曲としてのバランスを保つ役目を担っていた。
 今までは金星さんと役割分担しながらジョナさんのフォローをこなしていたと思われるので、ゴールデン・コンビとしてのバランスの見極めは、これからの課題であるかもしれない。


◆CD即売会

 「畑仕事、頑張ってね」、「りんご娘.でした」で、閉幕。
 最初のコメントが効いたのか、酒盛りしているおじさんから「頑張るでぇ!」と、声が上がったりしていた。

 その後、H.A.S.P.のスタッフがステージに上がり、CD即売会を実施する旨と、H.A.S.P.の活動についての告知を実施していたが、この日の観客層を考えると、活動についての告知を実施したのは、非常に良かったと思う。

CD即売&握手会 そんな告知と、ステージ上のパフォーマンスの成果が相まって、意外な程にファースト・アルバム「青森林檎」が売れていたようだった。「りんご娘.」もサイン入れ -> 購入者との握手に、大忙しという感じ。

 その後、主催者の配慮で、鉢植えのりんごの樹をバックにしながら、即席の撮影会開催。
 「りんご娘.」と一緒に記念写真を撮る子供さんもいれば、「りんご娘.」のみを被写体として撮影を行う人もおり、コンサート後の、僅かながらも賑やかで楽しい交流時間という感じであった。

 撮影会自体は、15〜20分ほどで終了。最敬礼で引き上げた「りんご娘.」の後を追うように、当方もレンタカーへと急ぎ、高速道路経由で青森駅へと向かったのだった。
 その車中では「青森林檎」がエンドレスで流されていたのは、言うまでもない。

◆三原色から、モノトーンへ

 冬眠を経た「りんご娘.」。
 ファースト・アルバムを発売した「りんご娘.」。
 練習生を加えた「りんご娘.」。
 そして何より、金星さんが抜けた「りんご娘.」。

 パッと思い浮かべただけでも、今回は様々な想いが錯綜するステージだった。
 特に金星さんの卒業は、そのボーカルが目立たぬながらも「りんご娘.」の流麗なコーラスワークを下支えしていると思っていたので、さぞかし大きな痛手となっているのではないか、と、内心ビクビクしていたのだが、鼻からそんな心配は杞憂であった。

 無論、全てが全て、金星さんが在籍していた当時を越えているとは言わないし、言えない。しかしながら、ジョナ・ゴールドとレッド・ゴールドのゴールデン・コンビなりに、金星さんが欠けたという事を前向きに受け容れ、その上で、今までは金星さんしか持ち得なかった歌声へ挑戦し、消化から昇華へと努力している、と思われるような瞬間があったというのは、本文中に記した通りである。

 これまでの「りんご娘.」は、情熱の赤 = ジョナさんクールで知的な青 = 金星さん全ての基準となる緑 = レッドさんという、RGBな光の三原色体制で、天然色を表現しようとしていたように思う。メンバー間にも、自然と前述のような役割分担意識が芽生えていると、MCなどを通して感じていた人も多かったのではないだろうか。

 しかしながら、様々な事情の中で、クールで知的な青が消失してしまった。
 それは、今までのままの役割分担に安住していては、赤と緑、そして二色を足した黄色しか、表現する事が出来なくなる事を意味する‥‥‥。

 そこで情熱の赤と基準となる緑は、自分達自身の色を変えてゆく方向を模索し始めたのではないか。完全に青になる事は出来ないが、各々が少しでも青を表現出来るようになれば、天然色は無理でも、歌うべき楽曲に合ったトーンを、二色でより綺麗な諧調として表現する事が出来るはずだ、と。

 実際、生でステージを拝見させてもらい、その当初はクールで知的な青が欠けているという現実を噛み締めた瞬間もあったのだが、ステージも後半に差し掛かると、青が欠けているという事よりも、赤と緑が、今までにない色を作り出そうと奮闘・模索している事が伝わって来て、興味はそちらに移り始めたのだった。(例えば、「GIVE ME POWER」でお披露目された、語尾輪唱のコーラスなどは、三人体制のままだったなら、使われる事のない形式だったように思える)
 故に、ひとまず今は、新しい可能性の光を見た気がする、と書いて、キーを打ち終えたいと思う。

 新たなる方向へ歩みだした「りんご娘.」に、そんな「りんご娘.」の背中を見つめる新しい芽に。
 そして、誰よりも、元「りんご娘.」の新しい明日へ‥‥‥、乾杯!


本文中のMC、会場描写、その他は、全て当方の記憶に基づき書かれています。
事実とは異なる表記があるかもしれませんが、ご了承下さい。


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