第28回「愛の広場」レクリエーションの集い in 青森県武道館


「愛の広場」レクリエーションの集い

◆経緯

 「りんご娘.」を筆頭に、弘前アクターズスクールプロジェクトさん(以下、H.A.S.P.さん)はボランティア活動としての巡業ライブにも積極的に取り組んでいる。しかしながら、それらのライブは性質上、広く一般に公開される形では行われていない。

 今回、社会福祉協議会主催による、知的障害者のみなさんのためのレクリエーションイベント・第28回「愛の広場」レクリエーションの集いに「りんご娘.」がゲスト出演し、曲がりなりにも一般公開されるという事を耳にして、普通であれば我々が目にする事の出来ないボランティア巡業ライブの一端に触れる事が出来るのではないかと思い、弘前まで足を伸ばしてみる事にした。
 結果は大正解。物凄く良い方向に裏切られたステージを、目の当たりにする事が出来た。

◆往路

 早朝の東北新幹線+東北本線特急にて、北上。
 乗り継ぎ列車の都合と、復路の都合を勘案し、青森駅からはレンタカー。
 車内BGMは、当然の事ながら「青森林檎」。

 所用がなければ前日にのんびりと弘前入りし、FM青森&FMアップルウェーブ『RADIOジャンクション』への緊急生出演をも視聴する事が可能だったのに!と、歯噛みしてしまうが、こればかりは仕方ない。

 軽く雨がパラつく中、順調に国道7号線を南下し、青森県武道館のある弘前市運動公園の北側駐車場に到着したのは、12時半を少し回った頃合。運動公園内を軽く一回りしてから、青森県武道館内へ。

◆会場

マツケン・サンバ H.A.S.P.さんの公式HPにて告知されていたように、関係者以外は二階席にて観覧して下さい、とのこと。早速、二階席へ向かい、会場を見下ろすと、各福祉団体・施設の皆さんが参加しているカラオケ大会の真っ最中。玄人はだしで素晴らしい喉を披露している方が多くてビックリ。
 1,700席あるという二階席は、各福祉団体・施設の応援団(!?)が、あちこちで観覧しており、まばらながらもある程度、席が埋まっている。

 武道館という事で天井が高く広いため、カラオケや参加者の歌声、歓声などが気持ち良く響いては消えてゆく。壁や天井に埋め込まれたスピーカーもフル駆動しているようなので、PAの調整さえ間違えなければ、良い音を聞かせてもらえそうだ。

 13時45分を過ぎた頃、司会者が「りんご娘.」の紹介MCを開始。
 イベントの性格からして、今回はカラオケを使用したライブだろうと思い込んでいたのだが、なんとフルートのフミタンさんを含めたケノシルのメンバーが、ステージ上にスタンバイ。これは物凄く嬉しい誤算だった。


◆LOVE&SOLDIER

りんご娘.登場 ステージ向かって右手より「りんご娘.」が登場。会場からは、かなり大きな拍手が巻き起こる。
 その拍手を出囃子にしつつ、シブさんのドラミングが折り重なって、そのまま本曲へ。
 ステージ前で観覧しているのは、主に知的障害者の皆さん(と、その関係者)だろうと思われるが、「りんご娘.」がイントロの振り付けを始めた所から、ノリノリ。

 なお、今回は二階席からの観覧という事で、余り細かい部分についてはご報告出来ない事をご了承いただきたい。

◆Fly High

 観客を煽るためにシャウトから曲に入ろうとしたベイビィさん。しかし残念ながら出だしの音を外してしまう。そういえば、明確に音が外れたと感じるシーンを耳にしなくなって久しいな、と、逆説的に気が付いた。

 だが、ベイビィさんがシャウトに挑戦した甲斐があって(!?)、観客のノリの良さもそのまま。イントロの手を空へと突き出す印象的な振り付けを真似ている人や、ステージに向かって手を振っている人も多くいたようで、笑顔のベイビィさんが歌いながら手を振り返す、という光景が何回も見られた。

◆MC.1 皆さん、こんにちわ。りんご娘.です!

 「皆さん、こんにちわ。りんご娘.です!」で、元気の良い「こんにちわ〜」という返答が。
 ベイビィさんが自分の自己紹介で「改めまして、こんにちわ!」と挨拶した時にも、「こんにちわ〜」の返答。非常に気持ちの良いエール交換という感じ。

 「じゃ、この調子で盛り上がって行きましょう!」(by ジョナさん)に、大きな拍手。


◆リンゴの唄

 この曲を耳にして、「あぁ、今日は武道館ライブだったんだっけ」と思い至る。
 基本的にスポーツ目的で作られた建物なので、余計な音響設計を施しておらず、音が響き過ぎるくらいに良く響く。分かり易く言えば、お風呂で鼻歌を歌っているような雰囲気で、その鳴りっぱなしの良さとでも表現したい自然なエコーが、単純に耳に気持ち良い。

Jonkara  しかし、青森一(!?)の武道館でこの気持ちの良さという事は、日本一の気持ち良さとは、一体どんなものなのであろうか?是非とも「りんご娘.」には、日本一の武道館で、もっと気持ちの良いコンサートを開催出来るように、精進して欲しいものだ。

◆Jonkara

 生の津軽三味線が入らないバージョンを聞くのも、本当に久しぶり。
 イントロを耳にして、思わず苦笑い。また、演奏スピードが上昇しているではないか!?

 ジョナさんとベイビィさんは、入れ替わり立ち替わりでメイン・ボーカルを務めていたが、演奏スピードの上昇と比例するように、二人の歌声から無理な発声をしている、という雰囲気がなくなりつつあるようだ。ようやく曲を自分達のものにした、という感じなのではないだろうか。

◆MC.2 りんごのキモチ 振付講座

 「次の曲は、皆で踊ってみましょう」という事で、ここ最近は恒例となった感もある、「りんごのキモチ」の振付講座へ。「マメコバチ スーパーライブ2005」でも、多くの観客の皆さんが手をイソギンチャクにしていたが、今日の皆さんも負けず劣らずで、壮観。
 ステージに向かって左手では、H.A.S.P.のスタッフ・ジャンバーに身を包んだ練習生が、「りんご娘.」と一緒に振付の手ほどきを行っていた。

 そうそう、そんな振付講座の合間に、ケノシルの皆さんはタオルで汗を拭き、水分補給に余念がないご様子だった。「Jonkara」をあれだけのスピードで演奏したら、そらぁー、汗もかきますよね‥‥‥。


◆りんごのキモチ

全員参加で、りんごのキモチ♪  「では皆さん、立って一緒に踊りましょう」で、本曲へ。
 「マメコバチ スーパーライブ2005」や「スーパーライブ in 三戸」と同様に、ベイビィさんがメインで歌唱しながら、ジョナさんが「はい、ここで手をお空に向かって上げましょう」などと、振付指導を行う。
 ステージ前の光景は、やはり壮観としか表現のしようがない。ほぼ全員参加で、「りんごのキモチ」♪

 曲間では、バックバンド「ケノシル」のメンバー紹介。
 今日はしっかりと各メンバーが手を振ったり、決め!のポーズを取る事が出来ていた。指を差しながらステージ前まで出て来たhiroさんに、大きな拍手が飛んでいたのも印象的だった。

 二階席から眺めていたせいかもしれないが、ステージとステージ前の一体感は、今まで当方が拝見したライブの中で、今回が一番だったような気がする。凄く純粋に、本当にピュアに、何の計算も邪念もなく、「りんご娘.」の歌を楽しみ、そして踊っているんだ、という観客の空気。このように自然発生する空気こそ、大切にしたいものだ、と強く思う。

◆MC.3 アンコール

 「りんごのキモチ」のエンディングが流れる中、「ありがとうございました」と、一旦はステージを下りた「りんご娘.」。すかさず「アンコール!」という声が、あちらこちらから飛び出す。
 しかしアンコールがあるかどうか、一寸微妙な空気だったので、当方も慌てて手拍子に参加。よくよく見れば、ケノシルのメンバーも手拍子をしている。

 と、ステージ上にスポットライトが入り、「りんご娘.」が再登場。
 「アンコール、ありがとうございます。一曲だけですが、アンコールにお応えしたいと思います」という事で‥‥‥、

◆焼きりんご

焼きりんご  この選曲も、個人的にはちょいとビックリ。反面、非常に嬉しい選曲でもある。
 ステージ前の観客の皆さんは、イントロが流れただけで再度、ノリノリになってしまうのだから、何ともはや凄い状態だ。

 会場の響きが良いために、そう聞こえたのかもしれないが、「スーパーライブ in 三戸」時点と比較すると、二人とも肩から余分な力が抜けた声となっていたように聞こえた。
 「Jonkara」と同じく、日々の修練を重ねた上で、何回かイベントやライブという真剣勝負の場でお披露目する機会を得れば、ゴールデン・コンビの新しい定番曲として、歌い継がれて行く事になるかもしれない。


◆終演後

 「ありがとうございました。りんご娘.でした」で、本当に終演。この段階で、14時20分過ぎ。
 会場は、そのまま「りんご娘.」をプレゼンターにした大抽選会に突入。その後には、フィナーレとして弘前女子厚生学院の皆さんの「よさこいソーラン!」も予定されているようだったが、残念ながら当方は時間切れ。荷物を取りまとめ、後ろ髪を引かれる思いで撤収。

 武道館一階ロビーに、H.A.S.P.の即売所が設けられ、7月17日のライブチケットを始め、ファーストアルバム「青森林檎」や、「りんご娘.」のサイン入りポスターが陳列されているのを横目にしつつ、雨の中をレンタカーへと急いだのだった。

◆雑感 あー、良かったな、弘前へ行って

 ボランティア巡業ライブについて、偏見を持っていたのは自分自身であった。
 正直、物凄く恥ずかしいキモチで一杯。

 H.A.S.P.さんも、「りんご娘.」も、ケノシルも、そのステージがどのような場所であろうと、否!ボランティア巡業ライブのような場所であればあるほど、いつも以上に全力投球しているというのが、良く分かった。
 つまり、文頭に書いた「我々が目にする事の出来ないボランティア巡業ライブの一端」などというものは、ハナから存在していないのだ。ただ、不特定多数が見られるか、そうでないかの違いだけ、ということ。
 嗚呼、自分の浅はかさが本当に恥ずかしい‥‥‥。

 そして何より素晴らしく、幼稚園のお友達が活躍した三戸とは、また異なる感動を与えてくれたのは、ステージ前の知的障害者の皆さんの応援・声援だった。
 ある種の意図で統率されたような、そういう類の応援ではないのにも関わらず、「りんご娘.」を見られて嬉しいというその一点で、見事にキモチが一致しているように見えた。振り付けを真似たり、手拍子をしたりと、応援の行動そのものは、何ら常識の範囲を逸脱するものではないというのに―――。

 知的障害者というのは、ある部分において、ちょっとだけ心がピュアな人達。だからこそ純であるものに対しては、我々よりもビビッドな反応をするし、邪なものに対しては、激しく抵抗をする。
 そんな彼ら・彼女らが、初めて目にしたのであろう「りんご娘.」に対して、あれだけ熱烈な、ホントにステージ前の光景だけを切り取れば、日本武道館やNHKホールなどに持って行ってもおかしくないような、熱狂的な応援をしてくれていたというのが、「りんご娘.」という運動体についての、純粋な評価の発露であるように思えてならない。

 本文でも記したが、少なくとも当方が拝見した範囲内において、青森県武道館のステージ前で、熱烈な応援を繰り広げていた貴方達が、現時点では最高の「りんご娘.」サポーターであったのは、疑いようのない事実だと思う。おかげで、「りんご娘.」の少しだけ未来の光景を、一足先に見せてもらう事が出来た。心から感謝したい。
 あー、良かったな、弘前へ行って♪

PS:
 本原稿執筆後、「精神薄弱の用語の整理のための関係法律の一部を改正する法律」にて、「精神薄弱」という用語が「知的障害」に改められたという事を知り、本文内の表記を「知的障害」へと修正しました。


本文中のMC、会場描写、その他は、全て当方の記憶に基づき書かれています。
事実とは異なる表記があるかもしれませんが、ご了承下さい。


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